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【前編】テキストから画像が生成される仕組み:画像生成AI入門(Stable Diffusion)

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【前編】テキストから画像が生成される仕組み:画像生成AI入門(Stable Diffusion)

はじめに

「窓際でくつろぐ黒猫」とテキストを入力するだけで、まるで写真のような画像が生成される――そんなAIを活用したサービスが急速に普及しています。

下記の画像は、実際に画像生成AIを利用して生成したものです。

このような画像生成技術は日々発展していますが、「どのような仕組みで画像が生成されているのか」まで理解している方は多くないのではないでしょうか。

本記事の目的

この記事では、「なぜテキストから画像が生成できるのか?」という根本的な仕組みについて、わかりやすく解説していきます。

想定読者

・画像生成AIに興味はあるが仕組みはよくわからない方
・専門用語に不安がある方
・Stable Diffusionの前提知識がない方

画像生成AIの処理フロー:ノイズから完成画像

ステップ1:ランダムノイズの生成

画像生成プロセスの出発点は完全にランダムなノイズです。
これは何の意味も持たない無秩序な点や模様の集まりですが、ノイズは「可能性の集合」と考えることができます。
完全にランダムなノイズの中には、あらゆる画像の可能性が含まれています。

ステップ2:ノイズ除去による段階的な画像形成

AIは入力されたテキスト(「窓際でくつろぐ黒猫」など)を理解し、そのテキストに合った画像になるようノイズを少しずつ除去します。
ノイズの除去の判断を何度も繰り返し、徐々に意味のあるパターンを浮かび上がらせます。
具体的には上記プロンプトの場合、「猫らしくない」部分のノイズを取り除き、同時に「猫らしい」「窓辺らしい」部分を強調していきます。

ステップ3:画像の完成

最終段階ではノイズがほぼ完全に除去され、テキスト指示に忠実な鮮明な画像が生成されます。
画像生成AIはこの「ノイズから意味のある画像へ」というプロセスを、膨大な画像データで事前に学習することで実現しています。
AIは世界中の無数の画像とそれに関連するテキストを学び、「猫はこういう形」「窓はこういう見た目」「くつろぐとはこういう姿勢」といった知識を蓄積しているのです。

実際の画像生成過程

1 step:ほとんどノイズだけの状態

5 step:ぼんやりと背景と猫の形が構成される

20 step:輪郭が明確になり背景や猫が整った状態で生成される

画像生成に関するよくある誤解

誤解1:「AIは既存の画像を組み合わせたり加工しているだけでは?」

・数百万〜数十億枚の画像データとそれに関連するテキストから学習
・「猫はこういう形」「窓はこういう構造」といったパターンや特徴を数学的に理解
・学習した知識をもとにノイズから少しずつ形を作り、全く新しい画像を生成

AIは単に画像を切り貼りしているわけではなく学習した特徴やパターンを用いて、一から画像を構築しています。
そのため、オリジナルの画像が生成されるのです。

誤解2:「指示通りの完璧な画像が必ず生成される」

具体例:「猫」というシンプルな指示の場合

・1回目:居眠りしている三毛猫
・2回目:こちらを見つめる黒猫
・3回目:草原を走る茶トラ猫

初期ノイズのランダム性や、テキスト指示の解釈の幅による影響で生成結果が異なります。

さいごに

本記事ではテキストから画像を生成するAIの基本的な仕組みについて解説しました。
次回の記事では実際に画像生成AIを使ってみたい方のために、Stable Diffusionを使った画像生成の実践方法をご紹介します。
環境構築の手順から実際のコード例まで、初心者の方でも実装できるよう具体的に解説していく予定です。

 

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この記事を書いた人

ishida

主にシステム開発業務に携わっています。 生成AIを中心に実際に触りながら学び中です。